「三徳円満」
〜金太郎の志です〜
曹洞宗の開祖・道元は『典座教訓』(てんぞきょうくん)という書物を著わし、食べものに上等も下等もない、贅沢なものなら丁寧に作るが粗末なものなら軽蔑するようでは志が低い、と説きました。心をこめ精進する「食」にこそ仏教の根源的な道がある、と言うのです。そうすれば、「自然三徳圓滿、六味具備」自然(じねん)に三徳円満し、六味具に備わらん、と。
三徳とは食物の出来具合のことで、軽軟(あっさりで柔らか)・浄潔(きれいでけがれがない)・如法(法にかなっている)に心がければ、六味(苦・酸・甘・辛・塩辛・淡)も調和する、という意味です。ようするに、けっして贅沢にこだわらず、もてなしの心で風土や食べ物にあった調理をする、ということでしょう。
ラーメンというごくありふれた日常の食事を、道元の志でできないだろうか、これが金太郎の出発点でした。金太郎は「みちのく」の各地から、丹念に心の込められた食材を聚めました。その土地が慈しみながら育てたこれらの食材は、それだけで豊な味わいを醸すはずです。「みちのく」の食材を使った「みちのく」らしい味。金太郎は、ここに三徳六味がある、と考えています。
食文化研究家 斎藤博之
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